理系夫婦のうたたねブログ

理系夫婦が好きなことを書いていきます。たまに医学っぽいことを書いていますが、あくまで私見です。

TOEICを受けてみた

この歳にして初めてtoeicを受けてみました。

受けるきっかけは特になく、なんとなくだったので特に勉強することもなく突撃

思ったより難しくて大変でした。

何点取れてるんだろ、600くらい行くのかな?そもそも、toeicのスコアって点数じゃないのか??

よくわかりませんが、いいきっかけになりました。

 

英語は苦手

そういう意識が芽生えたのは中1の時でした。なにかを覚えたりするのがとても苦手だったので、単語や例文を覚えられず高校三年の時も赤点をとるほどでした。

一方で本を読むのが好きで、大学に入ってからは英語の本も読むようになり、少しは英語に対する苦手意識も薄れました。

話すことも、留学生の友達や後輩ができてからはなんとかコミュニケーションをとろうと気合いでどうにかできる程度には話せるようになりました。

でもtoeicのようなテストを受けると、基本的な文法とかがわかってないってことが痛感されます。

 

コミュニケーションがとれるならいいじゃないかという意見もあります。でも、ぼくは悔しいと思ったし、英文法を勉強するのが少し楽しみになりました。

 

今度受ける前には、きちんと勉強してみようかな。そう思えただけでも、受けて良かったです。

 

と高尚なことをいいつつ、スコアも気になってしまうのは人間の性でしょうか…

迷い続けて25年

日経メディカルに心強い記事が・・・

初期研修マッチングで大学に「基礎医枠」設定へ

厚生労働省も本格的に医学出身の基礎医学研究者がいなくなっていることに危機感を覚えているのでしょうね。それにしては対策が遅いし、これではまだまだ増えると思いませんが・・・

 

そもそも医学部を出身した人が歩む道はそう多くはありません。学年の95%以上はそのまま初期研修をし、専門医を目指します。そのほかに産業医を目指したり、医系技官を目指したり、研究者をめざしたり、まったく関係ない職業につく人もいます。数年前にはテレビ局に入社した医学出身者が話題になりましたよね。

 

その中でも、研究者はかなり難しい道です。何が難しいって、お金です。医学を卒業して研究の道に進もうと思うと、まずは博士号取得のため4年(まれに3年)は大学院に通わなくてはいけません。その間収入がないのです。もちろん学費は払います。

 

通常、医者になってから大学院に行く場合は専門領域が決まってしばらくしてから行くパターンがほとんどです。したがってバイトもバッチリできるため、お金が本当になくなることはありません。

反面、基礎志望の場合は専門領域がないまま大学院にいくため、できるバイトは健康診断くらいなものになってしまいます。(初期研修もやらずに大学院に行った場合さらに厳しいでしょう)

 

お金のために何かを諦めるなんて悲しい若者が生まれないためにも、その辺をどうか厚労省の人たちにはお願いしたいですね…

そしてあわよくばぼくのことも救ってください…

 

寝る子は育つ(脳が)

久しぶりに論文紹介

A sleep state in Drosophila larvae required for neural stem cell proliferation

珍しくハエの(それも幼虫の)論文を読んでみました。

著者の中の1人、Raizen博士は2008年のNatureに載った線虫のLethargusが睡眠様行動であるという論文のFirst authorです。その後はLethargusをしばらくやった後にstress induced sleepを研究しているみたいです。

 

今回の論文は成虫では睡眠の研究が盛んにされているキイロショウジョウバエについてです。論文の最初はハエの幼虫のquiescent stateが睡眠様行動であることを示しています。

一般的に脳波の取れない生物では睡眠は行動学的に定義されます。定義の中には外的な刺激によってすぐに覚醒状態に戻ることや阻害するとリバウンドが見られることなどが含まれています。今回もそれらを一つひとつ示して行っている訳なのですが・・・

常日頃から思うことですが、なかなか行動学だけで睡眠を定義するのは難しいなと思います。特に哺乳類をやっている人たちの理解を得るのは難しいのではないでしょうか。ハエの幼虫は動きが止まって、体を少し縮こめるという行動をしており、それがsleep like stateであると述べているのですが、それが睡眠というのもなかなかイメージしにくいですよね。特に僕がひっかかったのは持続時間です。ハエの幼虫の睡眠は最短の持続時間が6秒とされています。これは線虫と比べるとかなり断片化されています。本文中にもありますが、もちろん断片化された睡眠をとっている生物は他にもいますからおかしな事ではありません。しかし新しく睡眠様行動を定義するにあたって断片化した睡眠というのは一般的にいうところのrestなのではないかと言われてしまいそうです。おそらく今後はハエの幼虫が睡眠しているということに関して、遺伝学的な論証も進める人が出てくるのではないかと思うのですが、どう進んでいくのか見所かもしれません。

 

論文の中盤では幼虫の睡眠の制御因子に関して述べています。面白いのはハエの成虫で覚醒を促進するDopamineが幼虫では作用を持たず、Octopamineが覚醒作用をもつこと。著者らはDevelopmentの途中での睡眠と大人になってからの睡眠では制御系が一部異なるのではないかと述べています。これは興味深い考察です。線虫でもDevelopmentの途中で見られるLethargusと成虫でも認められるStress-induced quiescenceなどは制御系が異なります。ハエでも同じ様な結論ということですよね。哺乳類で考えるとどうなんでしょう。ただの思いつきですが、幼少期にREM睡眠が多く、徐々に減ることが似ている様な気がするのです・・・・

 

終盤では幼虫の睡眠と神経細胞の発生について述べています。幼虫の睡眠を阻害すると神経細胞の発生が阻害されるというのです。まさに寝る子は育つですね。幼少期の睡眠が大切なのはよく言われますが、おそらく人で同じことを言うなら出産前の睡眠が神経系に重要であると言うことになりそうです。人間の知見はあまり持ち合わせていないので適当なことしか言えませんが・・・

ちょっときになるのはリバウンドsleep後に阻害された神経細胞の発生が完全に元に戻っていたこと。これでは阻害というよりは時期がずれただけな気がするのですが、特にコメントはなかったです。

 

思ったよりも睡眠を定義するパートが長かったですが、そのお陰で線虫の睡眠を見直すいい機会にもなりました。最後の神経細胞の発生阻害の話も面白かったです。

 

 

 

MDとうまくやっていくために

久しぶりの投稿になってしまいました。
忙しかったというよりも、なんか気分が沈んで寝てばかりいました。

医学系ラボにおける医師と研究者について考えてみました。

医学系のラボに於いて、医師と研究者がうまくやっていけないという話をよく聞きます。(私の周りだけではないと思います…)
もちろん原因は多岐にわたりますし、単純に気の合わない人がラボ内にいる場合もあるでしょう。その場合はお互い不幸だと思います。

理由の一つに、医師のプライドの高さが挙げられるのではないかと、思います。おそらく、ラボに入るタイミングが問題なのです。ラボに入る医師は大体が医師になって5年目以降です。その時期の医師は、ある程度病棟も任され、自分の科のことには自信がついてくるころなのではないかと思います。そんな医師がいきなりやったこともない実験をすることになります。
まるで研修医1年目に戻ったかのような無力感を感じるのではないでしょうか。
そこで、研修医1年目のようになにもできないことを認め、周りの人からいろんなことを学ぶことができればきっと良いのでしょう。
しかし、ラボにいるのはずっと年下の学生たちです。一度病棟に出れば誰もに頼られ、しっかりとした仕事ができるのに、ラボでは修士の学生にだって教えてもらわなくてはなりません。
プライドが邪魔して、うまく教えてもらうことができない人がいるのも、わからなくはありません。
でも、医師は無駄なプライドを持つべきではないと思います。僕らは(僕はまだほとんど医師ではないですが)別に絶対的に社会の中で偉いわけではないです。新しくラボにはいれば1年目の新人ですし、他のコミュニティでも同じことです。

いつまでも、誰かに教えていただくという気持ちを大切にして、生きていきたいなと思いました。人として。

色と医学

働いてると、いろんな色の表現を聞きます。

吐物が緑色だったとか、ドレーン廃液が淡血性だったとか

でも、色ってあくまで主観的なものです。看護師さんの赤が僕にとってのピンクであることは日常茶飯事ですし、まして淡血性なのか血性なのかなんて、基準がないので言ったもんがちみたいなところがあります。

 

この間ふと見つけた論文

色彩学的にみた看護職者の色表現方法の実態

は医療現場で使われる色の表現について考察しています。

 

これによると看護職では年数を経るごとに、色表現の数が増え、より専門用語での表現が多くなるんだそうです。1年目の方ではやはり、またそのままの色を表現することが多いようです。極端な話「ドレーン排液は赤いです」みたいな感じですかね。

経験を積むにつれて、血性やら乳びやらインジゴカルミンやらといった色そのものではなく、成分にまで言及した表現が出てくるようです。

筆者の方が考察されているように、より正しく伝達するにはおそらく定量的につたえることが必要になるでしょう。その場合には色相、明度、彩度を数値などで伝えれば正確に伝わるでしょうが、それをやるくらいなら写真撮るなりした方がいいですよね。そういったところで現場で生まれたのが専門用語による表現なのかなと思いました。色が正確に伝わらなくても、何が入ってそうかをみた人が推測してつたえてくれれば病態とかは正しく理解できそうですもんね。

簡単に、かつ正確に伝えることのいかに難しいことか

 

それにしても表中に出てくる淡々々血性とか淡々々々血性ってどんななんだか…

なんとなく昨年ヒットした映画の主題歌を思い出しました。