理系夫婦のうたたねブログ

理系夫婦が好きなことを書いていきます。旦那は医師では有りますが、医学的助言は一切おこなっていません。

医学とサイエンス

旦那です。

 

 

"医学はサイエンスなんだから"

とある医師

 

とある先生に言われた一言です。

 とっさに、そうとも言い切れないんじゃないかなーと思ってしまいました。でも考えてみればどうなんでしょう。おそらく答は「(特に臨床)医学はサイエンスとそれ以外の融合した領域」という様な玉虫色の結論になるでしょうが、ちょっと考えて見ました。

 

 

 Wikipediaを嫌悪する方も理系には多いですが、こういうちょっとした調べ物にはすごく便利ですよね。

科学 - Wikipedia

科学は狭義には自然科学を示している様です。自然科学とは上のページによると

自然の成り立ちやあり方を理解し、説明・記述しようとする学問の総称

とのこと。この考え方であると医学の中でも病気の成り立ちを考える病理学や人間の臓器などの機能を考える生理学などは満たしそうですね。

 

 一方臨床医学、というより私たちの日常の業務はどうでしょう。日々行うカルテ記載や検査、薬剤の処方などは科学でしょうか。医局に戻って論文を読んで仕入れるエビデンス達は科学的でしょうか。

 わたしは時折疑わしく思う時があります。なるべく根拠のないことはしたくないと考えているので、時間があけば調べてみてはいます。でもエビデンス不明の治療があったり、論文をいくつか調べて波風が立たない様に意見してみても、経験でわかると言われてしまったり、挙句は風習だからと言われたり・・・

 しかし私はまだまだ修行の身、というよりそれ以前のひよっ子、上の先生方の豊富な経験や膨大なエビデンスは頭の中にありません。そんな私だからこそ、先生方の頭の中を理解することができず、理路がわからないために科学的でないと感じてしまうのかもしれません。

 

 でもここで自己否定だけしていても進歩がありません。もう少し考えてみましょう。科学に関して考える時、よく読んでいるのは以前の記事

 

med-ruka.hatenablog.com

 で紹介した本です。この本の中で述べられていますが、誰が科学者であるかは何をするかで決まります。同じく、とある行為が科学的であるかは、どの様に行なっているかによって決まると考えています。

 

 そう考えると医学部は理系に分類されていますが、医師が全て科学者であるかどうかというとは私はそうではないと思います。先に述べたとおり、慣習の様な治療を行う医師もいれば、一人一人の患者さんに向き合って理解しようとする医師もいます。加えて、私の日々の業務も全てが科学的であるとは考えておりません。

 科学ではない医学というとみなさんはどの様なものをイメージするでしょうか。おそらく極端なものとしてオカルト的な治療が出てくるのではないかと思います。その様なあからさまなものに病院で出会うことは少ないと思いますが、実は臨床現場には科学的ではない検査や治療があふれています。

 

 私の考えでは臨床医学は、(少なくとも現時点では)全てを科学的にはなし得ない学問であると考えています。それは決して悪いことではありません。

 医学は未解明の疑問が大量に残された学問です。すでに得られている知見はわずかです。くわえて得られている知識をそのまま適応できることは少ないです。そんな状況で目の前の患者さんを良い方向に導かなければならないという厳しい状況です。そんな中で頼りになるのは決して科学だけではなく、言葉にできないアートの要素もあると考えられます。

 論理を用いて目の前の患者さんを理解しようとし、説明しようと努力している限り、その医師は広義での科学者であると言っていいと思うのです。

 

 そう言った意味で医学はサイエンスなのだろうなと思いました。少し考えてみてよかったです。日々の全てから、学びましょう。