旦那です。
3月31日をもって初期研修を修了するので、記念に書きます。
- はじめに
- 1, 食事と睡眠が本当に大切
- 2, 挨拶やらなんやら、他の人と仲良くなれそうなことはひたすらやってみる
- 3, 手技はなんとかなるので気にしない
- 4, 同期は大事にする
- 5, すぐ相談する
- 6, 付け焼き刃で戦おうとしない
- 最後に
はじめに
私はそこそこ真面目に研修をしましたが、「マッチングで研修医に人気の病院に行って2年間ひたすら修行を積む」みたいなことはしていません。
なので優秀な研修医になる方法論みたいなことは書くつもりはありませんし、書く能力がありません。
ただ2年間研修していて、こんなことが大事だなーと思ったことを書いていきます。
このブログを研修医が見ることもないのかもしれませんが、いつかだれかの役に立てばと思います。
1, 食事と睡眠が本当に大切
これは前から思っていたのですが、働き始めてさらにそう思いました。
研修医が激務であったのは過去の話だとか言われることもあります。実際にここ最近の研修医の労働環境はそんなに悪くないのではないかと思います。それでも残業は発生するし、当直だってこなさなくてはなりません。
残業を含めた仕事をしている時間が長くなると、犠牲になるのは睡眠時間と食事の時間です。実際に私もそこまで忙しい病院では研修しなかったにもかかわらず、一時期は4-5時間睡眠で食事は1日2回(パンかコンビニ弁当で10分以内ですます。昼は抜き)みたいな時がありました。
そうなってくると、どうしたって明るい気分で過ごすことが難しくなります。厄介なのは、食事と睡眠を削らざるを得ない程度に忙しくなってくると考えが狭くなってきて、周りの人とのトラブルにも発展しかねないことです。本当は睡眠不足のせいで機嫌が悪いのに、周りの友人の些細な言動が引き金で口論になったりなど。
私は自分が思っていたよりもだいぶん単純なようで、空腹と睡眠不足さえ解決すればわりかし上機嫌で過ごせるということに気づきました。逆にその時々に嫌なこと(急な呼び出しだの、上司に怒られただの)があっても食事が取れていて、睡眠が足りていれば多少の落ち込みはあれど、なんとかなるのだなと思えました。
対策としては意識的に(職場で問題にならない程度に)食事の時間をしっかりとることと睡眠時間を犠牲にしてまで何かをしないことを継続しました。結果、私としてはそこそこのパフォーマンスで無理なく研修を継続できた気がします。
研修中に上司から
機嫌がいいというのは一緒に仕事をする上で大切
と言ったお言葉をいただきましたが、その通りだと思いますし、自分を上機嫌に保つというのも、言ってしまえば社会人としての責務の一部なのかなとも思いました。
なので仕事が終わったらさっさと帰って、食事して風呂に入って寝ましょう。*1休んでコンディションや機嫌を整えるのも仕事だと思います。
夜遅くまで残って勉強するよりも、常識的な範囲内の時間だけ頑張って、睡眠をしっかりとって次の日の日中に頑張ったほうがいい研修医になる気がしましたよ。
2, 挨拶やらなんやら、他の人と仲良くなれそうなことはひたすらやってみる
まあこれも言わずもがななんでしょうが、大事です。同期と仲良くやるのも大事ですが、いろんな職種の人と仲良くなるといいことがありました。
仲の良くなった臨床検査技士さんにグラム染色した細菌の見分け方を教えてもらったり、リハビリのスタッフさんにリハビリをしている患者さんを見せてもらったり、MMTを別々にとって筋力低下について議論してみたりっていうのは仲良くなって初めてできたことでした。勿論、看護師さんたちには数えきれないくらいフォローをしてもらいました。
挨拶やら軽い会話やらは大事と言われつつも、私は軽んじてしまうことも時にはありました。しかし後から振り返ってみると、仲良くなった他職種の方達はいろいろなことを教えてくれまし、いろんなことをしてくれます。*2
特に専門職の方々は私の知らないことをたくさん知っていて、話を聞くだけでも面白かったですし、協力することでより患者さんのためになる医療ができたのかなと思いました。バカなりに「これがチーム医療かー」とも思いました。
3, 手技はなんとかなるので気にしない
これもよく言われていることですね。と言っても、私は相当気にしてしまいました・・・
元来、手先は不器用ではないと思っておりましたが、研修医のなりたての頃は点滴が取れないこと取れないこと。
恥ずかしいことに一時期はイップスのような状態になって針を持つだけでしばらく手が震えてしまったこともありました。その時期は本気で「あ、私は手技は苦手なんだ。いくら練習してもできないんだ」みたいなことを考えていました。
加えて研修医なりたての頃は「できるようになったことを自慢しあう」みたいな謎の文化があり、同期が研修医室で今日はこれができるようになっただのなんだのと自慢してくる声が聞こえてきました。私は手技がそこそこできるようになるのが遅かったため、そんな声を聞いては「あ、それ私にはできない」「そんなことやったことすらない」と勝手に思い、地味にキツかったです。
勿論、私もおそらく何か手技ができるようになるたびに自慢をしてしまっていたかもしれないので、お互い様といえばお互い様なのですが、この時期は研修医の同期とはあまり喋らないようにしていた気がします。
2年経った今思うのは、大抵の手技はいつの間にかなんとかなります。
明確にいつからできるようになるとかいうのはないんですが、研修医である以上は手技をやり続けるのでそのうち慣れます。大丈夫です。
後、当然ですが手技の種類によっては習得するのが遅くなることもあります。実際私が初めてCVをいれたのは2年目に入ってからでした。*3ローテートの仕方によってはそうなるのです。場合によってはCVほとんど入れないまま2年を終えることもあると思います。それでも気にしない気にしない。
4, 同期は大事にする
上で同期の手技自慢がきつかったとか言っていますが、やっぱり同期は大事です。
研修していると辛いこともあります。そんな時同じ境遇の同期がいると愚痴を言い合えるのでとても助かります。全員と仲良くっていうのは難しいかもしれないので、何人か一緒にご飯やら飲みにやらいける友人がいるといいです。私は同期と行くラーメンでなんども救われました。
他にいいこととして、コンサルテーションをする際に、そこをローテートしている研修医の同期がいると気軽にコンサルテーション前に相談ができてよかったです。
「〇〇先生って今日忙しいのー?」とかがちゃっちゃとわかるのはありがたかったですね。
5, すぐ相談する
勘違いする人もあまりいないと思いますが、最も大切なのは患者さんの害になることをしないってことです。なので少しでも自分のする決定などに疑念があるなら上司に相談するようにしていました。
推測ですが、最も上司たちが困る研修医は何もしない研修医ではなく、勝手にできないことをやろうとする研修医であると思われます。なぜなら勝手に行った決定で患者さんに害を及ぼすことがあるからです。
本当にまずい指示などは大抵看護師をはじめとする他職種が止めてくれることもあるのでしょうが、研修医は他職種からみると一人の医師としてみられることがあり、研修医の決定に歯止めがかからない場合もあります。
薬を投与したり中止したりといったことが、研修医の独断で可能になってしまうというところに怖さがあります。それゆえ、少し研修に慣れ始めた1年目後半から2年目は意識して相談しまくっていた記憶があります。
これまたありきたりですが、ホウレンソウが本当に大事だなと思っています。
6, 付け焼き刃で戦おうとしない
私がすごく後悔していることです。
研修医も少し慣れてくると、持ち前の向上心やらで日々の研修の他に勉強をし始めたりします。
「お、こんな論文出てる・・いまの患者さんの状況と似てるし、今度プレゼンで使ったろ」みたいなことをやると十中八九はボコボコにされます。というか迷惑だったと思います。申し訳ありません、上司の皆様・・・
背景や歴史を知らないで論文数本読んだからといって戦えるわけがないのに、何を考えていたんだかと後悔しています。
勉強することは怠らず、でも謙虚に
最後に
結局私が2年経って気づいたことは
研修医も立派な社会人
ということです。上にあげた大事だと思ったことも、研修医だからどうこうというよりも、社会人として大切なことがほとんどです。
医学部を卒業して研修医となると、どうしても通常の社会を知らずに仕事が始まってしまう印象があります。一人の社会人としての自覚を持ちつつ、一生懸命仕事をしていれば変な研修医にはならないのではないかと思います。
なので上に書いたこともほとんどこの本
に書いてあります。私は2年ほど前に読みましたが、読んでよかったと思います。
4月からの研修医の皆さん、どうか体と心を大切に頑張ってください。辛い時には思いっきり休んでくださいね。幸か不幸か、研修医のあなたが居なくなっても病棟は問題ないはずです。
一番大事なのは、生きて2年を終えることです。