理系夫婦のうたたねブログ

理系夫婦が好きなことを書いていきます。たまに医学っぽいことを書いていますが、あくまで私見です。

macbook pro復活計画

旦那です。

 

いつも調べものやブログの記事を書くのは自分のmacbook proでやっています。

ただこのmacbook pro かなり御高齢でして、2011 earlyモデルなんです。さすがに普段の作業だけでもかなり動きが重くはなってました。一番痛感したのは、とある日のことでした。プレゼンテーションをしようとして、macbook proをプロジェクターにつないだは良いものの、powerpointがいくら待っても立ち上がらない。あまりにも遅かったので急遽友人のPCを借りてプレゼンは滞りなく行えましたが、冷や汗ものでした。

 

そこで考えた対策が

①HDDをSSDに変更する。

②メモリを増設する。

です。多数のブログでこれらの成功報告があったのでこの二つで復活するのではないかと思ったのです。

使用したのは以下のSSD、メモリ、ドライバです。

 

Crucial SSD 500GB MX500 内蔵2.5インチ 7mm (9.5mmアダプター付) CT500MX500SSD1/JP
 

 

 

 

 

アネックス(ANEX) 精密ドライバー +00×50 No.3450

アネックス(ANEX) 精密ドライバー +00×50 No.3450

 

 

 

アネックス(ANEX) スーパーフィット 精密ヘクスローブドライバー T6×30 No.3543
 

 細かい手順に関しては他のブログでもたくさん紹介されていますし、非常に丁寧に解説されているブログが多いので詳細は省きます。

SSDとHDDの交換やメモリの増設はとくに問題なく終了して、あとはTimemachineから復元すれば終了だ・・・というところまで来て、問題発生

OSをインストールしようとするとmac OS X 10.7のLionをインストールしようとしてくれるのですが、私のmacbook proでは

「このアイテムは現在一時的に利用できません。」

というメッセージが出てきて、先に進まない・・・ 現在一時的にってことはしばらく待てばいいのか??

少し調べてみると

このメッセージはいくら待っても解消されないことが判明。

え、じゃあどうすりゃいいんだ・・・

とおもいましたが、今はネット全盛期の時代 ちょっと調べれば詳しい人や同じ悩みをしている人がいるもので、たくさん助けてもらいました。

あまり詳しくはないので正確かどうかは不明ですが、まとめると

①どうやらmacbook proのハードディスクを交換したあとにはまずOSをインストールするのですが、いきなり最近のOS、high sieraなどにはできず、出荷時に入っていたOSをインストールしなくてはいけない。

Mac OS XはLion以降はネットからダウンロード可能

③逆にMac OS X snow leopard以前はインストールのためにはディスクが必要

とのことでした。macbook proを買ったときのディスクが残っているなら全く問題はなかったのですが、もちろんもっていませんでした・・・・

 

泣く泣く買いましたよ。snow leopardアップルストアで まあ2400円でやすかったから全く問題ないんですけどね・・・

 

で今は快適にmacbook proを使えています。

起動までの時間も

before 150秒

after 20秒

ですよ!

ベンチマークも計測していますが

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こんな感じです。

 

大分快適です。これでまたこのmacbook proが現役復帰です。

 

昔からそうなのですが、ものに愛着を持ちすぎるきらいがあるのです。ものを大切にするのは悪いことではないとは思いますが、今回はなやみました。ちょうど新しいmacbook proも出ていましたし、型落ちとかもあったのかもしれませんしね。でもやっぱり愛着のあるものを改良して使えるようになってよかったかなと思います。

 

詳しくないので細かい記載はできませんが、詳しくない人でも他のブログを参考にSSD換装とメモリ増設程度ならできるんだなーという参考になれば幸いです。

 

今度からpythonの勉強もこのmacbookでやろーっと

 

 

初めまして、妻です

 

昨晩、夫との何気ない会話の流れで、

ブログというものを生まれて初めてやってみることに。

人と話すよりも文章を書くことが好きな性分の私、ちょっぴりワクワクしてます。

 

ブログって良いですね。

夫の過去記事を読んで、好きなことを徒然なるままに書いていけば良いんだ、と妙に納得。

私も好きなことを、好きなように、書いていきます。

 

と、朝の通勤電車の中で徒然なるままに書いてみる。

これからどうぞよろしくお願いします。

ブログタイトルの変更

救急科で削られ、全く更新できていなかった・・・

突然ですが、ブログタイトルが変更になりました。先日妻と

「料理とか育てた植物の写真を撮ってるけど、アップする場所がないんだよね〜」

「そしたら僕と一緒にブログやるかい?」

「いいよ〜」

という会話があり、今後は二人で更新することになりました。どうぞお見知り置きを

一晩の徹夜の代償

先週は忙しかった・・・という言い訳

たまにはヒトの論文を

www.pnas.org

そこそこ話題になった気がするので、ご存知の方もいるかもしれませんね。

 

睡眠が何のためにあるかというのは、非常に難しい問題です。未だにはっきりとした答えはなく、睡眠学の最大の問題の一つであるといえます。もちろんいくつかわかっていることはあります。例えばノンレム睡眠中の記憶の固定化などはよく知られています。そのほかにあまり一般に知られていないものとして脳の老廃物の排泄という機能があります。

 

発端は2013年Scienceに掲載された論文でした。一般的に体の中でできた老廃物の一部はリンパ系を介して排泄されます。一方で脳内には明確なリンパ系がないため、神経細胞の活動によって生成された老廃物を捨てる経路についてはあまりわかっていませんでした。2013年の論文では神経細胞が髄液に老廃物を捨てていることを示していました。加えて睡眠中には神経細胞周囲のグリア細胞が「縮む」ことでより多くの髄液が神経細胞周囲に行き渡り、老廃物を効率的に除去していることを示唆したのです。感覚的な説明にはなってしまいますが、睡眠中には脳は自身を洗浄しているという説明をされることもあります。

老廃物と言ってもピンとこないかもしれませんが、この論文がもっとも注目されているのは疾患との関わりです。アルツハイマー病をはじめとしたいくつかの神経変性疾患は異常なタンパク質の蓄積によって起こります。アルツハイマー認知症アミロイドβというタンパク質が神経細胞に溜まることが発症に関わっているとされます。なぜアミロイドβが蓄積するのかというのはまだ完全にはわかっていないですが、通常の脳がアミロイドβを捨てる方法として先ほどのように睡眠中に脳を洗っているのではないかと考えられているのです。逆に言えば短い睡眠時間や、質の悪い睡眠によってアミロイドβが蓄積してしまい、それがアルツハイマー認知症の原因になっているのではないかと言われてきているのです。

確かにいくつかの論文では睡眠中には髄液にアミロイドβが多く排出されていることが示されたり、睡眠時間の短さや質の低い睡眠をしていると自己申告している人のアミロイドβの蓄積量が多いということが示されてきました。

 

短い睡眠時間が、アルツハイマー認知症に関連していると言われるとなんとなく、よく眠った方が良さそうですよね。僕もなんとなくそう考えてはいましたが、一方で当直などあるとなかなか眠れず、睡眠時間は短かったり、あまりちゃんと眠れない日々が続いていました。

でもなんとなく大丈夫かなと思っていたのです。なんせアルツハイマー認知症などを発症するのは一般的には中年以降であり、それまでの睡眠不足の蓄積が影響しているのであって、一日寝なかったからといって大した影響はないだろうと思っていたのです。

 

今回の論文はその考え方が一部間違っているという内容だったので非常に楽しく読みました。結論としては一晩の徹夜でも脳内のアミロイドβは増加しているようなのです。論文では被験者さんを睡眠をとる群と徹夜する群に分けて、PETを用いて脳内のアミロイドβ定量していました。これによると徹夜した群では海馬でのアミロイドβが5%増加するようなのです。

たった5%かと思うかもしれませんが、一般的に認知症の前段階の患者さんでは脳内のアミロイドβが21%、アルツハイマー認知症の患者さんでは43%増加していると言われていることを考えると、たった一晩の徹夜がもたらす5%という蓄積がかなりの量であるということがわかるのではないでしょうか。

他に面白い点として、アミロイドβの沈着する位置が特徴的でした。遺伝的な影響によってアミロイドβの蓄積量は人によって異なるのですが、その際に蓄積しやすい脳の場所と今回指摘された徹夜で蓄積しやすい場所は違う場所でした。

もちろん、徹夜で蓄積したアミロイドβがそのまま全て残り続けるとは考えにくいです。仮に残り続けたらたった8夜(!)の徹夜でアルツハイマー認知症と同じ量のアミロイドβが蓄積してしまいます。おそらく前述の脳を「洗う」機構によって大半のアミロイドβは流されるのでしょう。今回の論文はあくまで短期の睡眠不足によってもアミロイドβが蓄積することを示したのみで、そのアミロイドβが長期的な脳の機能に対して影響を及ぼしているのかどうかに関しては不明です。しかしこのような論文が出てくると、長期の睡眠不足によって脳内に老廃物が溜まっていき、最終的に破綻をきたすのではないかという仮説も頷けるような気がしてきます。

 

アルツハイマー認知症は難病です。よく病院にもいらっしゃいますが、ご家族も含め非常に苦労されている方がほとんどです。アルツハイマー認知症というと記憶が失われるという印象が強いかと思われますが、それ以外にもさまざまな能力が失われていきます。時にはそれにより、ご家族と患者さんの関係がうまくいかなくなってしまうこともあります。なんとか良い治療法や予防法がないものかと世界中で研究が進んでいる分野ではありますが、未だ決定的な解決策がないのが現状です。睡眠分野からアルツハイマー認知症をはじめとした変性疾患の治療や予防に関してのブレークスルーが起こることを望んで止みません。

 

ちなみにちょうど今僕は当直明けですが、昨晩は救急車も多くて眠れませんでした。つまり今の僕の頭の中にはアミロイドβが蓄積しているわけです。早く寝なければ・・・

 

 

背に腹はかえられぬ

本日も論文紹介

GWなので1日2時間ほどは論文読むのに使えて嬉しい

Satiety behavior is regulated by ASI/ASH reciprocal antagonism

Last authorはこないだ紹介した2008年に発表された論文のfirst authorですね。今は名古屋大学にいらっしゃるとのこと。

 

生物にとって大切な行動はいくつかありますが、食事というのは最も重要なものの一つである様に思います。3大欲求の1つに挙げられていることもそうですが、食事をしない生物というのも想像しにくいですよね。そもそも生物の定義にもよると思われますが。

生物は餌があればそちらに向かっていくべきですが、そちらの方に好ましくない環境があったとしたらどうでしょう。空腹の状態ならそれでも餌を食べにいくかもしれませんし、それ程空腹ではなければ食べに行かないかもしれません。

 

線虫のASIという神経がSatiety-induced quiescenceに関わっていることは以前から積極的に調べられてきました。その結果からはASIが行動選択に関わっている事が示唆されています。ASIは外界の栄養に反応して興奮しますが、その反応は高濃度のNaCl(線虫にとって好ましくない)によって減弱する事がわかりました。反応の減弱はASHという神経の興奮によって起こっているという事もわかりました。

つまり線虫は栄養が周りにあるとASIが興奮してQuiescentな状態となり、その場で食事をする食べようとしますが、周囲のNaCl濃度が高くて好ましくない環境だということをASHを介して察知するとASIの興奮が抑えられるということです。

この反応は生存に重要です。もし線虫が餌だけに反応していたら、悪環境にある餌のところに行ってしまう事もあるかもしれません。線虫は上記の機構によってより良い場所にある餌を求める事ができるのです。

加えて、線虫の栄養状態によってもASI, ASHの興奮特性は変化することがわかりました。空腹の状態ではASHの反応は減弱する傾向にあることがわかったのです。

 

人間でいうとなると何でしょう。空腹状態では多少遠くてもコンビニやスーパーに行って食材を買い求めるというところでしょうか。我ながらあまりうまくない例え・・・

睡眠という外界から遮断された状態

今日の論文はこちら

Analysis of NPR-1 Reveals a Circuit Mechanism for Behavioral Quiescence in C. elegans

線虫の睡眠研究が盛り上がりを見せていた2013年の論文です。

 

私たちヒトも含め、生物は睡眠中に外界を認識することができません。外界を認識するというと、私たち人間は視覚情報のことを思い浮かべがちですが、生物は様々な情報を用いて外界を認識しています。今私は音楽を聴きながら、部屋で一人でコンピュータに向かい、この記事を書いています。目からは自分のコンピュータとその向こうに部屋と、窓の外には洗濯物と青空の画像が入力され耳からは歌手の声が入力されています。足と臀部の触覚からは私が座っていることを認識できます。鼻は少し詰まっていて感覚が鈍っていますが、わずかにコーヒーの匂いがを捉えています。

では、今急に私が寝てしまったらどうでしょう。先ほど書いた全てを私は認識できません。「そりゃ睡眠中は意識がないんだからそんなことは当然だろう」と思ってしまいがちですが、ちょっと考えてみると不思議な話です。眠っていようが起きていようが、私は今座っていて、コーヒーの匂いは部屋に漂っていて、耳からはお気に入りの歌手の声が入っています。眠っているとこれらが認識できないのは、どういう理由なのでしょう。たとえば触覚は末梢の感覚器から脊髄を上行して脳に至って処理されます。睡眠中はそのどこで感覚の遮断が起こるのでしょうか。

安直に考えるのなら、睡眠は脳で起こることだから感覚遮断は脳に入ってからの情報処理の段階に起こっているのだろうと考えられます。具体的にいうなら嗅覚以外の感覚なら視床以降の処理について、睡眠中には変化が起こるという考え方です。この考え方は受け入れやすい一方で少し古いかもしれません。

いくつかのモデル生物では既に、感覚ニューロン自体が興奮する閾値自体が睡眠状態では上昇することが知られています。さらに神経系以外の筋肉などでも変化が起こっているとする論文もあります。

これはいささか受け入れにくい実験結果かもしれません。睡眠というのは脳の状態の変化であり、寝ている間も他の臓器は変化していないというのが一般的な考え方である思われます。しかし、一方でより最近のトレンドに乗っている考え方でもある様に思えます。

 

ごく最近のNHKスペシャル

www.nhk.or.jp

でもありましたが、生物の臓器同士は常に様々な情報をやりとりしています。脳が睡眠状態になった時、全身の臓器も何らかの情報を受け取って全身の状態に変化が起こったって何も不思議ではないと思われます。

 

話が壮大になってきましたが、今回の論文は睡眠中の覚醒閾値(arousal threshold)を制御する神経ペプチドがあるかもしれないという論文です。

 

ヒトでも神経ペプチドは重要です。睡眠関連ではオレキシンが有名どころで、既に薬にもなっていますが、C. elegansでも神経ペプチドは重要な役割を果たしています。筆者たちはそれを踏まえた上でnpr-1という神経ペプチドのレセプタに着目しました。npr-1の機能欠損変異体は酸素やフェロモンへの反応性が増強されることが知られていました。そのため筆者らはnpr-1が感覚への反応性を調節しているのではないかと仮説を立てたのです。npr-1がその様な機能を持つとしたら、睡眠中の覚醒閾値(arousal threshold)を制御しているとも言えるかもしれません。

最初にnpr-1の機能欠損変異体の睡眠様行動を計測したところ、ほとんど眠っていないと言う結果になりました。この結果は非常にインパクトがありました。なんといっても野生型線虫の17倍起きているという結果だったのです。この結果をもって、時にnpr-1の機能欠損変異体は「眠らない線虫」と言われます。(「時に」とつけたのには理由があります。深くは語りませんが)

次にnpr-1の多型やリガンドの話になるのですが、あまりインパクトのあるデータは出てこない印象です。リガンドとしてFLP-18, 21が挙げられているのですが、ほかにもリガンドがありそうな気がします。

npr-1の機能している場所としてRMG circuitと言うのが出てきます。これはRMGという介在ニューロンからgap junctionで接続しているいくつかの介在ニューロンや感覚ニューロンをまとめた回路のことです。彼らの提唱した仮説ではnpr-1が存在しないとRMG circuitの活動が増強されます。RMG circuitの活動によりPDF-1という覚醒に作用する神経ペプチドが分泌され、覚醒がもたらされるというのです。PDF-1という神経ペプチドショウジョウバエで睡眠に関わっている事が知られていたのでそれと繋がっているというのは面白い視点です。

PDF-1が末梢の神経での変化にも関わっているというのが興味深い結果です。睡眠様行動中には感覚ニューロンの反応性が鈍くなります。筆者たちはこの変化にnpr-1pdfr-1が関わっている事を示しています。誤解を恐れずにいうのなら、PDF-1により能動的に感覚ニューロンの反応性を落とす事で睡眠様行動の維持を行なっているということを提唱したいのだと思われます。

流れとしては

FLP-18や21(それと他のリガンド?)→NPR-1がRMG circuitでのPDF-1分泌の抑制→末梢の感覚ニューロンの反応性が下がる→睡眠様行動の維持

と言うところでしょうか。

 

ストーリー立てが面白い論文でした。最初に読んだのは5年前になるわけですが、その時にはこんなに面白いとは思っていませんでした。やはり読み直してみるものですね。

 

今年度の目標

遅ればせながら、4月より2年目の研修医となりました。

現在は救急科で心をすり減らしております。とりあえず3連休は2日仕事です。明日は当直もあるので30時間連続勤務です。

 

今年度の目標は

1, 線虫の論文を週に1本は読む。

2, プログラミングを勉強して、画像解析をより多面的にできる様にする。

3, 研修を生きてやり終える。

です。勿論、平日や休日もほとんどは医学の勉強に当てていますよ。残った余暇の時間を線虫とプログラミングに振り分けているのです。

ちなみに勉強している言語はpythonです。理由はラボの他の人がpythonを使っているからです。

頑張ろう!